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ヒゲ爺 のレンズメンテ [望遠鏡メンテナンス]

 タカハシ TS-65 3枚玉セミアポクロマートレンズの
オーバーホール依頼がありました。

 分解する前に鏡筒の前面から対物レンズを診て見ると
一番内側(3枚目)のレンズの内側に物凄いカビで、鏡筒の内部が
見えない状態。

 お客様には、この状態ではカビを取りきってもレンズの透明度が
著しく悪くなり、眼視専用になるかも知れないと説明していました。

DSC_1179.jpg

 鏡筒から外した状態、写真では普通にカビが発生しているようですが
カビの根が0.5~1ミリくらいの厚みがあるカビが多数ありその根から
レンズ全体をカビが広がっています。(写真では解かりにくいが、
見た目では本当にカビが真っ白に広がっていました)

 分解してみると、レンズセルに3枚とも収まっていたときは
判りませんでしたが、1枚目のレンズは白濁(コーティング劣化)していて、
見た目で透過率が50%以下に落ちています、
2枚目の中玉は綺麗な状態で清掃だけで綺麗になります。

    カビが除去できるのだろうか?

 カビの除去に使用する溶剤でレンズを払拭しても取れません、
色々な溶剤で何回も丹念に吹き上げて(決して力を入れない)
やっとカビは除去できたのですが...

DSC_1187.jpg

 レンズにカビの菌が付着した所のコーティングが
きれいにはげていました。

    次は1枚目のレンズです

 レンズの第一面と第二面見ると第二面が著しく白濁している。

 DSC_1189.jpg

 ここまでなるとほとんど除去は難しいのだが...
一応除去を試みてみた。

DSC_1186.jpg

 当初よりも透明度が良くなったが、それでも透過率は
70から80%くらいにしかならない(作業時間約5時間)
これ以上作業しても効果は上がらないのでここで
作業終了とする。
 
DSC_1183.jpg

 左側から、1枚目、2枚目、3枚目 写真の具合で1枚目が白く見え
3枚目は剥離したコーティングが写らずに綺麗に見えています。

どうしてこのようになるの?

   保管の仕方... レンズ類は湿気を一番嫌います。

        ケースや箱は移動時のもの(保管用では無い) →
         自宅ではケースや箱から出して生活空間の中に
         木綿や麻など通気性の良い物に包んで保管
         (ビニール厳禁)

      乾燥剤のシリカゲルやカビキラーは早めに交換(3ヶ月から半年)
         シリカゲルは湿気を取るが、湿度が下がると放出する

            冷暗所や倉庫・箪笥・押入れ等は厳禁

  とにかく、人が動く空間で(空気が動く)いつも見て楽しむように...大切に!

            

            
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